すぐに手軽に、医療に役立つアプリ|MacFan

教育・医療・Biz iOS導入事例

すぐに手軽に、医療に役立つアプリ

文●讃岐美智義

iPadやiPhoneをどのように使うか、具体的な状況を知るだけで医師のワークフローは変わる。今回は、大規模なシステムを導入しなくても、すぐに役立つアプリを紹介する。

オーダーメイドのシステム構築やアプリ開発を行わなくても、汎用アプリを使うだけでワークフローは大きく変わる。今回は、筆者がおすすめするアプリの中から、使い始めるだけですぐに医師の業務を変えてくれるアプリを6本紹介する。
中でも筆者がもっとも重用しているのが「グッドリーダ(Goodreader)」だ。PDFやマイクロソフト・オフィス文書や動画、さらにはZIP圧縮されたファイルさえも閲覧可能なファイルビューワアプリで、あらゆる文書をサクサク表示する。筆者は、このアプリで講演のビデオを見返したり、手術中の生体情報モニタの波形をショートムービーとして保存したものを表示させて研修医や学生に説明している。友人の外科医は、自分の内視鏡手術手技ビデオをM4V形式に変換して何度も見直しているという。彼の手術手技の上達が著しいのはこのためかと感心した。先日、臨床実習で回ってきた学生は、講義で配布したプリントをPDF書類として科目ごとにグッドリーダにフォルダを作って保存していた。
病院で患者説明用に作った紙芝居風の書類や学会発表スライドはパワーポイントが多い。ドロップボックスやグーグル・ドライブに保存しているものをダウンロードする機能を使いiPad/iPhone本体にあらかじめ保存しておけば、すぐに患者説明や学会発表のプレゼン練習に使用することができる。それをキーノートに受け渡せば、アニメーション付きで再生が可能である。
医療従事者でiPhone/iPadの具体的活用に悩んでいる方は、このグッドリーダをはじめ、今回紹介するアプリをぜひ試してみてほしい。日々の業務が間違いなく変わるはずだ。


 








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医学領域でも活用必須の神ビューア

Goodreader

[価格]450円[販売業者]Yuri Selukoff


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あらゆる文書(PDF、画像、音楽、動画、オフィス文書、HTML、ZIP解凍)を表示する全科必携の神アプリ。巨大なファイルでも難なく表示、再生できて動作速度も快適だ。ドロップボックスやグーグル・ドキュメントなどのサーバに接続でき、これ1本でダウンロードや表示、フォルダ分けによるデータの整理を行える。あらかじめデバイス内にファイルをダウンロードしておくことで、必要時にサッと見ることができる環境はありがたい。










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iPhoneでお手軽に医学文献を検索

文献検索Pro

[価格]170円[販売業者]アトラス


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日本語(CiNii、J-STAGE)と英文(PubMed、PLOS)の医学文献検索サイトを同時検索し、文献をリストアップする。検索履歴により繰り返し検索が可能な点がうれしい。そのうえ、ブックマークを付ければローカルに保存もできるし、メールやエバーノートのほか、学術論文の管理ソフト「Mendeley」とも連携する。なお、文献を調べるだけでなく、PDFベースの文献管理を行いたい場合には、Mac版もある「Papers」や「Endnote」もおすすめだ。










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薬品の添付文書をどこでも確認
添付文書HD
[価格]添付文書(iPhone):85円/添付文書HD(iPad):85円
[販売業者]ObjectGraph LLC


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PMDA(薬品医療機器総合機構)のWEBサイトにある病院薬の添付文書PDFを検索、表示できる。Wi-Fiや3Gなどの通信環境が必要だ。一般名、販売名での検索、カメラによるバーコード検索に対応している。なお、通信環境がなくても使用できるアプリとして「添付文書2012(2500円)」がある。薬品情報のみであれば、医学電子書籍販売サイト「M2PLUS」から「PDA版「今日の治療薬(4200円)」をダウンロードし、「M2Plus Launcher(無料)」で閲覧できる。










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気管支内視鏡の画面をリアルに確認

iBronch

[価格]85円[販売業者]Edward Bender


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気管支内視鏡の映像をリアルにシミュレーションするアプリ。気管支の構造を見直したり、患者説明に役立つ。内視鏡で気管支内を観察したときの映像を気管分岐のマップ付きでリアルに表示する。学生や研修医への説明だけでなく、自分で理解したり確認したいときにも有用だ。










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全医科領域を網羅する計算アプリ

MedCalc(medical calculator)

[価格]MedCalc(iPhone):170円/MedCalc Pro(iPad):450円

[販売業者]Mathias Tschopp


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医療に役立つスケールや計算式を内蔵し必要な数値を入力するだけで計算を行ってくれるアプリ。すべての領域を網羅する、歴史ある医療用計算アプリだ。体表面積、GFRや中心静脈カテーテルの適正位置、平均血圧、痛みのVASスケール、デルマトーム、QTc、ΔPP、血管抵抗、心拍出量、アパッチII、アニオンギャップ、許容出血量などを網羅。iPad版は印刷や計算結果の保存、標準メモアプリに計算結果をコピーする機能を持つ。










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鎮痛薬と鎮静薬の血中濃度を表示

SmartPilot Xplore

[価格]85円[販売業者]Draeger Medical GmbH
 


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麻酔の鎮痛薬や鎮静薬の血中濃度、またその相互作用のPK/PDモデルをグラフ化する。麻酔中に静脈麻酔薬の血中濃度や効果部位濃度(脳内濃度)をリアルタイムに計算し、2次元グラフで鎮痛薬と鎮静薬の効果部位濃度をわかりやすく表示してくれる麻酔科医必携のアプリだ。学生や研修医などへ説明時にも役立つ。なお、このアプリと比べるとやや値は張るが、iPhone、iPadの両方に対応した「AnestAssist PK/PD(1700円)」というアプリもある。



文:讃岐美智義
日本麻酔科学会麻酔科指導医。iPad/iPhoneの活用で医師のライフハックを実践する。
著書に『医師のためのモバイル仕事術 iPad/iPhoneを使い倒す!(学研メディカル秀潤社)』などがある。
『Mac Fan』2013年5月号掲載