2013.07.26
Adobe Photoshop Lightroom（以下、Lightroom）は、写真ライブラリの管理、RAWファイルの現像、そしてさまざまな補正ができるデジカメユーザのための総合ソフト。Macユーザの場合、写真の管理といえばアップル純正のiPhotoを思い浮かべる人が多いと思いますし、もっと写真にこだわりたい人だと同じくアップル製の「Aperture」を使っている人もいるでしょう。では、こうしたアップル製ソフトに比べて、Lightroomのよさってなんでしょうか？ ちょうど日本に来ていた米アドビシステムズのLightoom担当マーケティングマネージャー、デイビッド・アウヤン氏にその魅力を尋ねてみました。
まずアウヤン氏は、6月に発売したばかりのLightroom 5について解説してくれました。
アウヤン氏がLightroom 5の注目ポイントとして最初に挙げたのが、さらに使いやすくなった「修復ブラシ」。写真の中の不要物を除去する機能です。もちろん、不要物の除去機能自体は前から存在していましたが、これまでは円形のブラシで「クリック」して場所を指定し、除去する方法でした。それが5では、ブラシで「なぞって」範囲を自由に指定して不要物を除去できるようになりました。このことで、取り除きたいものが不規則な形をしていてもキレイに消し去ることができるのだそうです。
アウヤン氏はさらに一歩進んだテクニックとして、修復ブラシの不透明度を変えるテクニックを紹介。例えば人物の肌などの場合、不透明度を変えることで、シミなどを目立たせず、なおかつ肌のディテールも残すといったことが可能になります（写真の「Opacity」スライダの部分。日本語環境では［不透明度］スライダと表示されます）。
続いてアウヤン氏がプッシュしたのは、遠近法で傾いてしまった水平線や垂直線を自動で直してくれる「Uplight」機能。画像内の水平線・垂直線を見つけて、1クリックで補正してくれます。…と文章で語るより、以下の写真をご覧いただいたほうが効果のほどがわかりやすいかも。
でもこれって、水平線や垂直線が存在しない写真は補正できないでは？ この問いに対しては、「完全な直線でなくても、ある程度インテリジェントに認識できます」とアウヤン氏。それでもうまくいかないときは、手動で変形の具合を調節できるとのこと。
ほかにも、円や楕円で囲んだ範囲以外の明るさや色味を変更できる「円形フィルタ」や、外付けドライブにデータを置いた写真でも、外付けドライブなしで確認・補正できる「スマートプレビュー」機能など、ライトルームの新機能は盛りだくさん。どうやら今回のバージョンアップは、「写真のクオリティアップ」のための機能に重点が置かれているようです。
さて、そこで元の疑問に立ち返ってみます。一体、Lightroomって何がいいのでしょうか？ 例えば、iPhotoやApertureと比べてどこが魅力なんでしょうか？
その問いに対してアウヤン氏は、「Apertureもいいソフトだと思いますが、今回紹介した機能はすべてLightroomでなければできないと思います」と回答。なるほど、Apertureもしばらくメジャーアップデートが行われていませんし、補正機能の面ではLightroomがリードしているかも。負けてられませんよ、アップルさん！
ひとしきり納得したところで、最後に1つ聞いてみました。「LightroomはMac App Storeで販売しないのでしょうか？」 実は、Photoshop ElementsやPremiere Elementsといったアドビ製ソフトはMac App Storeでも販売しています（パッケージ版とは一部機能が異なる）。だったらLightroomもMac App Storeで販売してみてもいいのではないかと…。
アウヤン氏曰く、「Mac App Storeによって、Elements製品が新しいユーザにリーチできたという手応えはあった」のだそうです。ただし、Lightroomの場合は「アップグレード価格をどうするか」という問題があり、まだMac App Storeでの販売に踏み切れないでいるとのこと。
この点は、Lightroomに限らず、バージョンアップを続けるすべてのソフトが抱える悩みだと思います。でも、Macユーザにとって、Mac App Storeは手軽にソフトを購入できるとても便利な存在。なにかうまい打開策があればいいのだけれど…。サードパーティのソフトメーカーだけでなく、アップルにも考えてほしい課題ですね、これは。
なお、Mac Fan9月号では、Lightroom 5のレビュー記事を掲載しています。「実際に使ってみた評価はどうなの？」と疑問をお持ちの方は、ぜひ誌面をチェックしてみてくださいね。
＜Adobe Photoshop Lightroom 5 公式ページ＞
